「衛星データ×気象データで切り開く新時代の防災とは」イベントレポート。Tellus COO牟田が語る 次世代タスキングシステムの展望
2025年6月20日、X-NIHONBASHI TOWER(東京都中央区)にて開催されたセミナー「衛星データ×気象データで切り拓く新時代の防災とは」において、株式会社スペースシフト、株式会社ハレックス、株式会社Tellusの3社が共同で進める実証実験の成果と、各社が取り組む今後の事業についてトークセッションを行いました。
◆実証実験でTellusが担った役割
今回の実証では、ハレックスが提供する気象アラートメールをトリガーに、スペースシフトが生成AIを用いて観測対象領域(AOI)を自動生成し、Tellusが開発するオンデマンド衛星タスキングシステムを通じて、ASNARO-1およびGRUS衛星のデータ取得を行いました。
Tellusは、複数衛星に対する横断的な検索・発注機能を有するタスキングシステムを構築・提供しており、衛星データの取得効率化と迅速な意思決定を支援する環境構築を担いました。
◆COO牟田が語る、技術課題と生成AIの可能性
登壇した牟田梓COOは、タスキングシステムの実装における現状の課題として、「プロバイダーごとにリクエスト形式や仕様が異なる」点を挙げ、「利用者向けには設定項目が統一されていることが大事である一方で、より多くの衛星と接続したプラットフォームとなるためには、衛星ごとに柔軟な対応が求められ、そのバランスが課題となっている」と語りました。
その上で、「今後という意味では、生成AIの活用などにより、自動で最適化されることが期待できる」と述べ、AIが複雑な仕様の橋渡し役となる可能性を示唆しました。
さらに、衛星データの利活用促進に向けては、「データの共同利用を進めることで、ユーザーは低コストで、プロバイダーも利益を確保できるエコシステムの構築が必要」とし、持続可能なデータ流通モデルの必要性を提起しました。
◆災害時の優先対応と今後の展望
災害時の緊急観測体制については、「防災科研などの公共プラットフォームと連携を検討している」と述べ、公共・民間の連携による有事対応システムの構築に前向きな姿勢を示しました。
今後の展開として、現在開発中のタスキングシステムを、2025年秋ごろから正式に提供予定。「災害対応のみならず、幅広い用途に対応可能な仕組みとして展開していきたい」と意欲を語りました。
ほかの新サービスの開発を含め、引き続きTellusは衛星データプラットフォームとして、衛星データを活用した安心・安全な社会の実現に貢献してまいります。